日本版DBS導入で必須?現職者に誓約書を提出させるメリットと就業規則見直しのポイント

 すでに雇用されている現職者に対して事後的に提出させる場合、その法的効力(特に懲戒解雇の可否)については、新規採用時とは異なる留意点があります。

1. 誓約書を提出させる目的とメリット


 事業者は法の施行(または認定)に向けて、現職者に対して以下の事項をあらかじめ伝える「事前伝達」を行う必要があります。誓約書の提出はこのプロセスを確実にする手段となります。

・制度の周知  
 自身が犯罪事実確認の対象であることを理解させる。

・配置転換等の予見可能性
 犯歴が確認された場合、こどもと接する業務に従事できなくなることを事前に合意・認識させる。

・手続への協力要請
 戸籍情報の提出などの法定手続に応じる義務があることを徹底する。

 


2. 労働法制上の留意点(懲戒処分の有効性)


 現職者に誓約書を出させる際、特に注意すべきは「虚偽があった場合の対応」です。

・「経歴詐称」の成否
 採用選考時に明示的に確認していなかった現職者に対し、雇用後に事後的に誓約書をとった場合、仮に内容が虚偽であっても、就業規則上の「重要な経歴を詐称して雇用されたとき」には該当しないと考えられています。

・解雇のハードル
 採用時に確認していなかった者について、犯罪事実確認で犯歴が判明したことのみを理由に直ちに解雇することは、客観的合理性や社会的相当性が認められにくいため、まずは配置転換や業務範囲の限定を検討する必要があります。

 


3. 事業者が事前に行うべき対応


 現職者への誓約書提出と併せて、以下の準備を整えておくことが強く推奨されています。

・就業規則の整備
 懲戒事由に「重要な経歴の詐称」「児童対象性暴力等に該当する行為」だけでなく、「正当な理由なく犯罪事実確認の手続(戸籍提出等)に応じないとき」を追加しておく。

・不適切な行為の定義
 犯歴がなくても、児童等への不適切な行為があった場合に対処できるよう、その範囲を明確にし、規程に定めて周知する。

 

まとめ

 現職者に犯罪歴がない旨の誓約書を出させることは、「対象業務に従事させられない場合のルール」を本人に徹底させるために有効であり、問題ありません。 しかし、採用時に確認が漏れていた現職者の場合、虚偽が判明した際の解雇は法的リスクを伴うため、「まずは配置転換を検討し、それがどうしても不可能な場合に限り解雇を検討する」という慎重なプロセスが必要です。

2026年07月03日