犯罪事実確認の手順及び注意点


日本版DBS制度における犯罪事実確認(犯歴確認)の手順および注意点について、ガイドラインに基づき以下の通り解説します。

 

 1. 犯罪事実確認の全体フロー


 犯罪事実確認は、原則として「こども性暴力防止法関連システム」を通じたオンライン申請により行われます。
1. 事前準備
 事業者はGビズIDを取得しシステムにアカウント登録を行います。また、従事者に対し確認の必要性や手続の流れを事前通知します。

2. 交付申請(事業者)
  採用内定時や配置転換決定後、事業者がシステム上で申請を行います。この際、雇用契約書の写しや内定通知書など、業務に従事することを証する書類を添付します。

3. 本人情報の登録(従事者)ここがポイント
 申請を受けた従事者本人がシステムにログインし、マイナンバーカード等を用いて戸籍情報(識別符号等)を国へ提出します。
 

こまもろうシステム登録をスムーズに進める実務のポイント

こまもろうシステムで犯罪事実確認を行う際、まずは対象となる従事者の「氏名」と「メールアドレス」を登録します。登録後、従事者本人へアカウント作成依頼のメールが送信されますが、ここからいかにスムーズに登録手続きを完了してもらうかが運用の大きなポイントとなります。
  確実に入力を進めるためには、以下の実務対応が有効です。
 ・雇用契約時に、アカウント登録の「期限」をあらかじめ設定しておく
 ・新入社員説明会や社内研修の場で、その場で登録を完了させる
 (事前にマイナンバーカードまたは識別符号を持参するようアナウンスしておきます)



4. 照会と交付: こども家庭庁が法務省へ照会し、特定性犯罪前科の有無を確認します。
◦ 犯歴なしの場合
 事業者に「犯罪事実確認書」が交付されます。
◦ 犯歴ありの場合
 本人に事前通知が行われ、2週間の訂正請求期間を経て、中止要請(内定辞退等)がない場合に事業者に交付されます。


「こども性暴力防止法関連システム」の利用について

1.事業者が取得するもの:GビズID
• 対象
 学校設置者等、施設等運営者、認定事業者など。
• 用途
 「こども性暴力防止法関連システム」に事業者としてログインし、アカウント登録や犯罪事実確認の交付申請を行うために使用します。

2. 事者が行うもの従事者アカウントの登録と本人認証
従事者はGビズIDを持つ代わりに、以下の手順でシステムを利用します。
• アカウント作成
 事業者がシステムに従事者の情報を登録すると、従事者本人にメールが届きます。そのメールに記載されたURLから「従事者アカウント」を作成します。
• 本人認証
 ログインの際、マイナンバーカード等を用いた本人認証を行います。
• 情報の提出
 認証後、システムを通じて戸籍情報等の提出(犯罪事実確認の同意手続)を自分自身で行います。

*マイナンバーカードを用いた本人認証について
1. 本人認証の具体的な方法
• スマートフォンによる読み取り
 従事者本人が「こども性暴力防止法関連システム」に、ログインしたり、アカウント登録を行ったりする際、マイナンバーカードをスマートフォン(携帯端末)にかざして読み取ることで本人認証を行います 。

• デジタル認証アプリの活用
 具体的には、携帯端末の「デジタル認証アプリ」などを用い、カード内の利用者証明用電子証明書を送信する方法が想定されています 。

• 戸籍情報の提出
 日本国籍を有する従事者は、マイナンバーカードを使って「戸籍電子証明書提供用識別符号」を取得・送信することで、紙の戸籍謄本等の提出に代えることができます。

2. カードリーダーの必要性
• 専用の据え置き型カードリーダーは必須ではありません。 NFC(近距離無線通信)に対応したスマートフォンがあれば、その端末自体がリーダーの役割を果たすため、カードをかざすだけで認証が可能です 。

• スマホが使えない場合の対応
 端末の理由等でスマートフォンでの読み取りが困難な場合や、マイナンバーカードを保有していない場合は、市区町村の窓口で「識別符号」を直接取得し、その符号をシステム上で手入力する方法も用意されています 。


○まとめ
• 事業者側(担当者)
 システムへのログインや申請のためにGビズIDが必要です。
• 従事者側(本人)
  GビズIDは不要ですが、システム登録と認証のためにマイナンバーカード等が必要となります。



 


 2. 犯罪事実確認の期限


従事者の区分により、以下の期限までに確認を完了(確認書を受領)させる必要があります。

• 新規採用・配置転換者: 対象業務に従事させるまで。
• 施行時現職者(学校等): 施行日から3年以内(令和11年12月24日まで)
• 認定時現職者(認定事業者): 認定日から1年以内。
• 再確認: 前回の確認日から5年経過後の年度末まで。

• 期限: 直近の犯罪事実確認書に記載された「確認日」の翌日から起算して5年を経過する日の属する年度の末日(3月31日)まで 。 
• 実施期間: 対象となる従事者を、上記の期限を超えて引き続き業務に従事させる場合は、その年度の初日(4月1日)から末日(3月31日)までの間に改めて犯罪事実確認を行わなければなりません。


具体的な日付の例(令和9年10月1日が「確認日」の場合)ガイドライン P167より

・前回の確認日: 令和9(2027)年10月1日
・5年を経過する日: 令和14(2032)年10月1日
◎再確認を実施すべき期間: 令和14(2032)年4月1日から令和15(2033)年3月31日まで
・完了期限: 令和15(2033)年3月31日

*5年が経過する日(10月1日)が含まれる年度の初め(4月1日)から、改めての犯罪事実確認を行うことが可能です。

 

 

 3. 「いとま特例」による先行従事


 急な欠員等の「やむを得ない事情」がある場合に限り、確認完了前に先行して業務に就かせることが可能です。

• 猶予期間: 従事開始から原則3か月以内に確認を終える必要があります。
安全確保措置(必須)
 確認を待つ間、当該従事者を「犯歴あり」とみなして、原則として児童等と一対一にさせない等の措置を講じなければなりません。



 4. 運用上の重要な注意点


• 情報の厳格管理
 犯罪事実確認記録等は、管理責任者を置いて適切に管理し、漏えいや目的外利用(他社への提供等)は厳禁です。
• 廃棄義務
 従事者の離職日から30日以内、または確認から5年後の年度末から30日以内に、記録を確実に廃棄・消去しなければなりません。
• 派遣・委託等の扱い
 派遣労働者や個人業務受託者の場合も、実際に指揮命令や役務の提供を受ける「派遣先・発注者」側が犯罪事実確認を行う義務を負います。
本人が書類提出を拒否する場合
 事前に就業規則等で協力義務を定めておくことが重要です。正当な理由なく拒否した場合は、業務命令違反として懲戒処分の対象になり得ますが、まずは配置転換等の回避策を検討します。
• ボランティアの継続性
 短期・単発のボランティアでも、3要件(支配性等)を満たせば対象となります。「意向確認書面」を交わすことで、6か月間は「離職」とみなさず情報を保持し、再確認の手間を省けます。

 

「こども性暴力防止法に関するQ&A」より

【6-1 】特定性犯罪の前科がある者が氏名を変更した場合も、犯罪事実確認書により特定性犯罪事実該当者であることが確認できますか。

(答) 氏名の変更等があった場合も、確認することができます。
犯罪事実確認書の交付申請に当たっては、そのために、従事者に過去の全ての戸籍等の情報の提出を求めることとしています。

【6-2】 特定性犯罪事実該当者の定義として規定されている一定期間(20 年(拘禁刑の場合)又は 10 年(執行猶予、罰金の場合))を経過した者について、当該期間経過後は、犯罪事実確認書には特定性犯罪事実該当者ではない旨が記載され、過去に特定性犯罪事実該当者であったことを事業者は分からないということになりますか。

(答) ご認識のとおりです。

【6-5】 施行時現職者で犯罪事実確認が済んだ者が、まだ分散申請の時期が来ていないために犯罪事実確認が行われていない事業所に異動した場合、異動の際に犯罪事実確認を行う必要はありますか。

答) 同一事業者内の異動であれば改めての犯罪事実確認は不要です。なお、人事交流等により別事業者に異動する場合は、当該別事業者において犯罪事実確認が必要になります。

【6-6】 法の施行時点で休職している教員等については、復職時ではなく、他の施行時現職者と同じタイミングで犯罪事実確認を行うことになりますか。

(答) 施行時点で育児休業等を取得している対象業務従事者も施行時現職者となりますので、割り当てられた時期※に犯罪事実確認を行うこととなります。
※ 詳細はガイドラインⅩ.3「学校設置者等における施行時現職者の犯罪事実確認の分散」をご参照ください。

【6-8】 1年間の任期で講師を任用し、任期終了後再任用する場合には、再任用の際に犯罪事実確認が必要になりますか。

(答) 雇用期間等の終了後も対象業務への従事を継続することが、新たな雇用契約書等の客観性を有する書面等に基づきあらかじめ取り決められている場合(会計年度任用職員等の場合は、任期の終了後、再度、対象業務に従事する職に任用される場合)は、こども性暴力防止法第 38 条第2項の「離職」に該当しないこととしており、改めて犯罪事実確認を行う必要はありません。

【6-9】 当初再任用の予定が無かった従事者について、その従事者の任期終了後、広く募集をしたものの人材が確保できず、同じ従事者を再度任用するということがあります。この場合、任期終了から再度任用するまでの間に期間が空いていた場合は、再任用の際に改めて犯罪事実確認が必要ですか。

(答) 退職した日から起算して 30 日が経過する日までの間で、かつ事業者が犯罪事実確認記録等の廃棄及び消去を行う前に、同一事業者に再就職した場合は、元々予定されていた次の犯罪事実確認までの間は、犯罪事実確認記録等の廃棄・消去及び新たな犯罪事実確認は要さないこととしています。

【6-18】 交付申請の手続において、従事者は過去に犯罪事実確認に関する手続をした際に提出した戸籍等の提出を省略できることとされていますが、別の事業者で従事していた際の犯罪事実確認で提出したことがある場合も省略できますか。

(答) 過去の犯罪事実確認の手続の際に提出した戸籍等については、当時とは別の事業者による犯罪事実確認の際にも省略することが可能です。
 ただし、前回の提出後以降に氏名等の記載事項に変更があった戸籍等や、変更がない場合であっても最新の内容が記載された戸籍等については、省略することはできません。

【6-20】 犯罪事実確認の手続において従事者が提出する戸籍等の書類について、事業者の担当者等にその内容が知られてしまうことはありますか。

(答) 戸籍等の情報は、こども性暴力防止法関連システム(こまもろうシステム)を通じて従事者から直接こども家庭庁に提出することとなりますので、内容を事業者に知られることはありません。

【6-21】 犯罪事実確認の手続において従事者が提出する戸籍等の書類について、その取得に要する費用は従事者負担ですか。

(答) ご認識のとおりです。

【6-22】 犯罪事実確認書の交付申請において、従事者が戸籍等の情報を提出したか否かについて、事業者はどのように把握すればよいでしょうか。

(答) 従事者の戸籍等の提出状況は、こども性暴力防止法関連システム(こまもろうシステム)上で事業者も把握することが可能です。

【6-23】 こども性暴力防止法関連システム(こまもろうシステム)の従事者アカウント登録について、休職者などのアカウント登録は本人以外の者が代行できますか。

(答) アカウント登録は本人に行っていただく必要があります。休職者等の場合も同様です。

【6-25】 犯罪事実確認書の交付申請をした後で、こども家庭庁から犯罪事実確認書が交付される前にその従事者が内定辞退や退職をした場合は、取下げの手続は必要ですか。

(答) 交付申請を行った後で、その従事者の内定辞退や退職により犯罪事実確認の必要がなくなった場合には、事業者はこども性暴力防止法関連システム(こまもろうシステム)上で交付申請の取下の手続をしてください。

【6-27】 学校が授業の補助等として指導の一部を外部の事業者に委託している場合、受託者が認定事業者等であって、その従事者について犯罪事実確認を実施済である場合も、学校設置者等においてで改めて犯罪事実確認をしなければいけませんか。

(答) 学校の事業として(学校設置者等として行う事業として)実施する場合は、受託者が認定事業者等であって、その従事者について犯罪事実確認を実施済である場合も、学校設置者等において犯罪事実確認を行うことが必要です(犯罪事実確認記録等は、極めて機微性の高い情報であり、事業者間で共有することは法律で定められている場合を除いて、認められていないため)。

【6-29】 私立中学・高校のスクールバスについて、バスは学校が保有していますが、保護者組織に委託して実施(バスは学校が保有し、保護者組織に納入される会費を学校が預かり運航委託)している場合、運転手の犯罪事実確認を行う主体は誰ですか。

(答) 当該スクールバス事業が、学校事業の一環として行われているものであれば、運転手の犯罪事実確認は学校法人が行うこととなります。

【6-30】 定期報告事項である特定性犯罪事実該当者の数について外部から問われた際、開示してよいですか。

答) 特定性犯罪事実該当者の数は、それ自体、特定性犯罪事実の有無を示す情報であるため、特定性犯罪の有無と同様に開示不可となります。
*「特定性犯罪事実関連情報」とは、犯罪事実確認の結果、特定性犯罪事実該当者であることが判明した者に対し、事業者が「防止措置」を検討・実施するために本人から取得した、犯歴に関するより詳細な情報。

 

 

 

 

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