不適切な行為 対処規定に定める際の注意点

 

 不適切な行為を「児童対象性暴力等対処規程」に定める際の注意点として、ガイドラインでは主に以下の事項が挙げられています。

 

 1. 事業の実態や児童等の発達段階に応じた柔軟な設定


「不適切な行為」の範囲は、事業内容や対象となる児童等の発達段階、現場の状況によって異なり得るため、一律に決めるのではなく、事業の実態に即して決定する必要があります 。


発達段階への配慮:未就学児と中高生では、必要となる身体接触の範囲が異なります 。ただし、小学校低学年であっても信頼関係構築の ために接触が必要な場合があるなど、個別の特性を踏まえる必要があります 。
事業特性の考慮:スポーツ、水泳、バレエ、ダンス等の指導においては、児童等や保護者の理解を得た範囲で身体接触を伴う指導があり 得ることを考慮します 。
状況の判断: 日常的な送迎と、災害等の緊急事態における対応を同等に扱うことはできないといった、状況に応じた判断も必要です。

 

 2. 従事者とのコミュニケーションと萎縮の防止


規程を定めるプロセスにおいて、現場で業務を担う従事者との対話を重視します。

過度な萎縮の回避
 従事者が過度に萎縮することがないよう留意し、必要に応じて専門家に相談しながら内容を決定します。
文化・慣習の見直し
 これまで文化や慣習として行われてきた行為についても、「児童等がどのように受け止めるのか」という観点から 改めて見直すことが重要です。
議論できる環境づくり
 どのような行為が不適切にあたるか、日々のミーティングや研修で自由に議論できる雰囲気・環境を整え、現場 での共通認識を形成していくことが求められます。

 

 3. 具体的な類型の明示


従事者が正しく範囲を理解できるよう、規程には具体的な行為の類型を盛り込むことが望ましいとされています。ガイドラインでは以下の類型が例示されています。


私的なコミュニケーション
 私的な連絡先の交換、二人きりで私的に会う、保護者の承諾のない自宅訪問、不必要な送迎など。
撮影
  私物スマホでの撮影、ルール外の管理、業務外の撮影など。
密室
  不必要な密室での二人きり(用務のない別室呼出しなど)、更衣室やお風呂の二人きりでの利用など。
身体接触
 不必要な接触(長時間抱きしめる等)、膝に乗せる・おんぶする(※未就学児への業務上対応を除く)、マッサージ、添い寝 など。
介助・更衣
  不必要な入浴・排せつ介助、誤解を受けるようなおむつ交換、不特定多数の目がある中での更衣など。
特別扱い・その他
  特定の児童への金品提供、容姿の過度な賞賛、過度な肌の露出(性的手なずけのリスク)など。

 

 4. 児童等および保護者への周知と合意


規程の内容は、従事者だけでなく、児童等および保護者に対しても十分に周知徹底しなければなりません。

共通認識の形成
 業務上、身体接触を伴う行為が必要な場合は、あらかじめ「不適切な行為」として定めている範囲を説明し、理解を得 ておくことが重要です。
個別契約等の活用
 スポーツ指導等で身体接触がある場合は、書面による個別契約等でその有無や範囲について合意しておく工夫も有効 です。

 5. 防止措置・懲戒規定との整合性


不適切な行為が行われた際の対応についても規程に定めておく必要がありますが、労働法上の留意点があります。

段階的な対応
 初回かつ比較的軽微な場合は、行為を責めるのではなく、理由を聴き取りながら指導や経過観察を行うといった段階的な対応を検討します。
就業規則との連携
 規程に基づいて懲戒処分を行う場合、あらかじめ就業規則に懲戒の種別や事由を定め、周知しておく必要があります 。規程があることだけで直ちに懲戒処分を行えるわけではない点に注意が必要です。


以上、規程を作成する際は、これらのポイントを必須記載事項としつつ、各事業者の実態に合わせて内容を盛り込むことが求められます 。

 

 

こども性暴力防止法(日本版DBS)認定申請の無料相談予約。大阪の社労士・行政書士が規定類作成等、導入をサポート