「いとま特例」とは、こども性暴力防止法(日本版DBS)において、急な欠員などのやむを得ない事情により、犯罪事実確認(犯歴確認)が完了するのを待つ時間的余裕(いとま)がない場合に、一定の条件下で先行して業務に従事させることを認める例外規定です。
ソースに基づき、この特例の内容、適用要件、および義務付けられる安全確保措置について詳述します。
1. 特例が認められる要件と期間
原則として、従事者がこどもに接する業務に就くまでに犯歴確認を完了させる必要がありますが、以下の条件をすべて満たす場合に特例が適用されます。
• 適用要件
◦ 予見できない急な欠員や学級数の増加など、「やむを得ない事情」があること 。
◦ 直ちにその者を業務に従事させなければ、施設や事業の運営に著しい支障が生じること。
「やむを得ない事情」とは、こども性暴力防止法(日本版DBS)の「いとま特例」において、犯罪事実確認(犯歴確認)が完了するのを待つ時間的余裕がない状況を指します 。
ガイドラインに基づき、具体的にどのようなケースが該当するのか、また認められない例についても解説します。
1. 「やむを得ない事情」の具体的な類型
ガイドラインでは、学校設置者等(義務対象)および認定事業者等(任意対象)において、主に以下の状況を「やむを得ない事情」として定めています 。
• 予見できない急な欠員や増員
急な退職、病欠、採用辞退のほか、年度開始直前に判明した学級数の増加や利用者の急増などが含まれます。
• 行政・予算上の制約による直前の人事決定
国や地方公共団体の予算成立時期の関係で、異動の内示が従事開始日の直前にならざるを得ない場合などが該当します 。
• 契約締結の遅延
労働者派遣契約や請負契約において、事業者の責めに帰すことができない事由により契約締結が遅れ、従事開始直前になった場合です 。
• 組織改編や事業承継
新設合併、吸収合併、事業譲渡などにより、新たな設置者が継続して事業を行うため、短期間に従事者を確保する必要がある場合です 。
• 許認可の遅れ
新規事業において、適切に手続を進めていたにもかかわらず行政側の許認可が遅れ、運営開始までの準備期間が十分に確保できなかった場合です 。
• 確認手続の遅延
事業者が十分な時間的余裕(標準処理期間の最長期間など)をもって申請したにもかかわらず、従事開始までに確認書が交付されない場合です。
• 災害時
大規模な災害が発生し、緊急的な対応が必要な場合です 。
2. 認められる例と認められない例
単に従業員が不足しているだけでは足りず、「予見可能性」と「支障の程度」が判断のポイントとなります。
| 区分 | 認められる具体例 | 認められない具体例 |
|---|---|---|
| 採用 | 急な病欠・辞職への代替要員、事件・事故後の急な心のケア要員の配置 | 定年退職など欠員が予見できたのに、計画的に採用活動を行わなかった場合 |
| 業務調整 | - | 確認を待つ間、こどもと接しない事務作業に従事させても運営に支障がない場合 |
| 手続 | 4月採用者に向け2月に申請したが、4月までに交付されなかった場合 | 従事者が戸籍提出を遅延したため、従事開始1週間前に申請した場合 |
3. 事業者の義務
いとま特例を適用する場合、事業者は単に事情を主張するだけでなく、以下の対応を行う義務があります。
• 証拠書類の保存
規則に定める「やむを得ない事情」に該当することを証明する書類(退職届の写しや、余裕を持って申請したことが分かる記録など)を保存しなければなりません。
• 安全確保措置の実施
確認が完了するまでの間、その従事者を「特定性犯罪事実該当者(犯歴あり)」とみなして、原則として児童等と一対一にさせない等の措置を講じる必要があります。
このように、「やむを得ない事情」は事業運営の継続性を守るための例外であり、事業者の過失や計画性の欠如によるものは認められません 。
• 確認の期限
◦ 従事開始日から原則として3か月以内に確認を完了させる必要があります 。
◦ 災害時や、十分な余裕を持って申請したのに交付が遅れた場合などは、最大6か月以内まで延長が認められます。
2. 特例適用中に義務付けられる「必要な措置」
犯歴確認が完了するまでの間、事業者はその従事者を「特定性犯罪事実該当者(犯歴ありの人)」とみなして、以下の安全確保措置を講じなければなりません 。
• 「一対一」の原則禁止: 児童等と従事者が二人きりにならないようなシフト管理や配置を行います。
• 管理職による巡回: 管理職等が定期的に現場を巡回・声掛けし、状況を確認します。
• 事前の研修: 業務に従事する前に、性暴力防止に関する基本的な研修を受講させます 。
3. やむを得ず一対一になる場合の例外ルール
業務の性質上(カウンセリング等)や、突発的な緊急事態(おむつ替えの代替要員がいない、災害時の誘導等)で一対一にならざるを得ない場合は、以下の対応が求められます
。
• 事前報告と事後完了報告: あらかじめ管理職に理由を説明して了解を得るとともに、事後に報告を行います 。
• 視認性の確保: 外部から中の様子が見える部屋(窓のある教室等)や、リモートでの対応を検討します 。
4. 事業者の事務的な義務
いとま特例を利用する場合、事業者の責任者は以下の対応を行う義務があります。
• 本人への書面説明: 特例の対象であることや、一対一の禁止などの制限事項について、従事者本人へ書面で説明しなければなりません。
• 証拠書類の保存: 急な欠員であったことを証明する書類(退職届の写しなど)を、報告徴収や立入検査に備えて適切に保存する必要があります 。
この特例は、事業の継続性を確保しつつ、犯歴が未確認の従事者からこどもを確実に守るための「暫定的な安全策」として位置づけられています。